17歳のための世界と日本の見方―セイゴオ先生の人間文化講義
世界と日本を歴史観をもって見ること、社会と文化はどのように成立しているのかをよく知ること、について、「編集工学」という切り口で解説していく。
17歳というのは、大学生以前の高校生に語りかけたかったという思いがこめられている。
これはですね、某AV女優のブログで紹介されていて、それで読んでみようってことになったんだけれども、そこでは確か歴史に関する本ってことで紹介されてたんだけど、これはまあ、歴史というか、歴史ではあるけれども、どっちかと言うと、思想の本って感じですね。宗教とか哲学とか、例の、「ソフィーの世界―哲学者からの不思議な手紙」の日本人版って感じっすか。
ヒトが直立二足歩行をして「人間」になったところから始まって、ユダヤ教、仏教、老荘、キリスト教、日本の神話、かな文字、西行、親鸞、と来て、ルネサンス、茶の湯、信長、秀吉あたりまでの話で終わる。
いやー、「ツァラトゥストラ」がゾロアスターのドイツ語読みだなんて初めて知った(笑)。
伊勢神宮には内宮と外宮があって、それぞれ別の神様、内宮はアマテラス、外宮はトヨウケという、伊勢の地元の神様を祀っている、とか。(日本では神も仏もいっしょくたなのは昔から伝統的にあるという話)
ゴシックって言葉は「ゴート人」っぽいって意味で、純正教派的なキリスト教の様式とかちがう異教徒の様式って意味合いを持っていた、とか。(ノートルダム寺院、ケルンの大聖堂)
青山学院、明治学院がプロテスタントで、上智、聖心女子、がカトリックだとか。
へー、と思うこと多々あり。
気になったのはこのあたり、
この写本編集室は「スクリプトリウム」とよばれ、各地の修道院に置かれるようになります。
スクリプトリウムでは、たんに聖書の文字を書き写すだけはなく、飾り文字を書きこんだり、ページごとに縁どり文様を描いたり、またミニアチュールをいって極彩色の細密画も描くというふうに、何人もの専門修道士たちが分業して美術品のような聖書を生み出していきます。今でも欧米の美術館で見ることができますが、たいそうきれいなものです。
余談になるけれど、このスクリプトリウムに注目して、これをコンピュータにしようとしたのが、アラン・ケイなんです。アラン・ケイはゼロックスのパロアルト研究所というところで、世界で初めて「パソコン」を構想した人だけれど、それは修道院のスクリプトリウムにヒントを得たわけだったんです。
そういえばなんか今私たちが使っているプログラム言語ってキリスト教の匂いがぷんぷんするなあ、みたいな。
「聖痕(スティグマ)」とか「受苦(パッシブ)」とか、なんだかどっかで聞いたような単語だなあ、みたいな。
結局でもそういう、絶対的な善と絶対的な悪の設定を前提に成立してるものが今のような時代でも論理的に正しいってことになってるんですかね? アメリカの戦争だってそうだし、例の16歳の娘にコンドームは使わせないって教育をする親だってそうだし。キリスト教はそういう様々な時代の変化に伴ういろんな矛盾を吸収する形で、アウグスティヌスとかそういう優秀な人たちが論理を展開してその正しさを守ってきた訳なんでしょ。
そこには人々を納得させられるだけのロジックがあるってことな訳で、もしかしてロジカルであるっていうのは、キリスト教であるってことなのか? そういう意味でロジカルであることって今この時代にどうなんだろう、とか。
いろいろ考えちゃいましたね。
今のプログラム言語もそういうようなもんだと思うと、あんまり良くなくないっすか(笑)
ま、それはともかく、自分が高校生の時に読めたらよかったなあと思うようなとてもいい本なのでお薦めです。
これをきっかけにいろんな本を読んでいくといいと思います。
春秋社
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