独特老人
先日読んだ「顰蹙文学カフェ」の中で、若者は元気ないが、老人は過激だ、みたいな文脈の中で紹介されていた。
いやー、届いてその分厚さと、開いて「装幀・題字 横尾忠則」というのを見てこりゃ失敗したかなと思った(笑)。やばい本だ。
最初に、後藤繁雄が老人を訪問した日の様子、意気込み、とその老人の経歴が見開きで説明され、そのあと数ページにわたってインタビューが掲載される、という構成になってるんだが、確かに、もうその経歴を読んだだけでくらくらしてくるくらい。壮絶。
印象だけど、戦後なんらかの活動をして逮捕された=戦ってきた、という人が多い。あと海外行った、海外で活躍した、という人も。吉本隆明のところに、
毛沢東だって、マルクス主義者もそうだけどさ、ボケてるくせに楽隠居すりゃいいのに、信念のある人っていうのは死ぬまでやってるんだよ。写真見ると、目とか虚ろになってるのに会見したり。そんなことしなきゃいいのに。とあるが、そんな感じの人ばっかり。
猫になりたい、なりたいけどなれない悲哀だ、愛だ、とか言ってる須田剋太って人とか。
神の死の世界を実相の世界とよび、(それは大気圏にあるんだそうだが)そこへ行ってきた、そこでは小林秀雄が待ってる、とか言ってる芹沢光治良って人とか。
そこの神様に言わせれば今の日本は300年前のフランスの腐った時代と同じなんだそうだ。フランスは革命を起こしてなんとか100何十年もかかって持ち直したけど、日本は別の方法で立ち直らせるそうです。
あと、女の方が強いって話をしてるのが2名、杉浦明平と沼正三。
杉浦明平はバイオテクノロジーが発達したら男は潰されるって。蜜蜂の雄は腰の下から全部ちぎれて女王蜂の中に吸い込まれていくんだって。
沼正三は女は生きざま、男は死にざま。千人斬りとか言ってるけど実は逆。いかにSMかという話。女学生が歩く小道の、お目当てが踏んだ小石を拾って額の上に載っけて寝たとか。防空壕でお乳が飲みたいと言って小学生のチンチンくわえたとか。かなり衝撃的。
辞書は言葉狩り、昆虫採集。ピンで刺して標本箱に並べれば専制君主になれる(サディズム)とか。指二本あればマスがかける、妄想の国の王様になる、とか。食うものをさがすばけものが「文化」、獲物がなくなっちゃったら宇宙空間に求めて旅立つ、とか。
犯罪者って、必要なんですよ。世界が平面化して、完全にでこぼこがない鏡のごとき平面になって、世の中が神様のごとき善人ばかりになっちゃったら、そんな世界は腐った世界です。急流の水が何でいい水なのか、海の水はなぜ腐らないか。つまり、必ずね、世に受け入れられない少数者って必要なんですよ。とか。
山田風太郎は足利十五代の室町時代の方が魔界的で妖気をはらんでていいと言ってる。一人もまともな将軍がいなくて無政府状態みたいな方がいい文化を生んだと。
ラストの鶴見俊介との対談で後藤繁雄は若い子たちはもう日本という国には住んでいないと言っている。違う空間ができていて、そこに住んでいると。
そんなに女が強いんなら、なんで少子化で労働時間が減らないとか言ってんだ? とか、若者が住んでなくて無政府状態がいいんなら政党なんていらないんじゃね? とかいろいろ考えたりした。
あーそうそう、老人ってことだけど、迷惑かけるってことが大事なんじゃない?って思うんだよね。信念つらぬくのもいいけどさ、「家内には申し訳なく思ってる」とか、そういうこと言ってて、必ず誰かに迷惑かけてる。そういう迷惑な存在が過激な何かを生むんでしょ。
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